アメリカ・ゲーミング協会(AGA)は、商業カジノ産業のロビー活動部門であり、昨年のゲーミング収入は過去最高の530億ドルであった。しかし、AGAのプレジデント兼チーフエグゼクティブBill Miller氏は、違法で規制されていないオフショア業者がいなければ、合法で規制されている商業業界はもっと豊かになっていただろうと語っている。
AGAは先月、マルタ、ジブラルタル、マン島、フィリピンなどのiGamingヘイブンで運営されている、規制外のオンラインゲーミング業界の規模と範囲を詳述した。
同協会によると、規制外プラットフォームを通じて毎年約5110億ドルが違法オンラインギャンブルに費やされているという。結果として毎年約130億ドルの関連税収が奪われていることになる。
先週、ストリップ地区のResorts World Las Vegasで開催されたNational Conference of Legislators from Gaming States(全米ゲーミング州議員会議、NCLGS)で、Miller氏は、FBIがこのような不正なオフショアゲーミング事業者を取り締まるべきだと述べた。
前回の取り締まりから10年余り
FBIがアメリカの一般家庭を対象とした規制外ゲーミングウェブサイトを取り締まってから11年以上が経過している。
2011年4月15日、当時オンラインポーカーを運営していた3大企業、PokerStars、Full Tilt Poker、Absolute Poker/Ultimate Bet(Cereus Poker Network)が司法省とFBIの強制捜査を受けた。ポーカーの「ブラックフライデー」と呼ばれるようになったその日、FBIは、外国の管轄区域で運営されていたインターネットネットワークのオンライン資産を差し押さえた。
Miller氏は、アメリカの顧客からベットを取り続ける多くのiGamingやオンラインスポーツブックに対してFBIが取り締まるのはもう過去のことだと述べた上で、FBIが不正なオフショア事業者のアメリカ向け事業を差し押さえ、司法省がそうした企業を起訴してフォローアップするよう要請している。
同氏によると、オフショアゲーミング事業者がアメリカで刑事責任を問われることを望んでいるが、これには2つの野望があるという。第一に、このような起訴によって、規制されていない多くのゲーミングサイトがアメリカで閉鎖になること。次に、オーナーやオフショアゲーミング事業体が起訴されれば、その人物や会社が将来、合法的で規制された業界に参入することがかなり難しくなるということである。
「起訴されれば、現在グレーマーケットで生活している人が(規制された市場で)ライセンスを取得することは非常に難しくなります。」
Miller氏はNCLGSで語った。
州のゲーミング規制当局は、合法的で規制された管轄区域で運営するために必要な重要なライセンスをかつての悪質業者が受けるには不適当だとみなしてきた。
沈黙を続けるFBI
司法省は、8か月以上前から同氏の嘆願を受け取っていたにもかかわらず、コメントも返答もしていない。4月、Miller氏はMerrick Garland司法長官に、海外のiGamingとスポーツブックのウェブサイトがアメリカのギャンブラーをオンラインでターゲットにしているという問題について手紙を書いている。
Miller氏は次のように述べた。
「AGAは、アメリカの消費者を保護して違法な事業者を取り締まり、連邦規制を強化するために、違法なオンラインスポーツブックとカジノに対処することを優先させるよう同省に要請します。」
The Unlawful Internet Gambling Enforcement Act of 2006(2006年違法インターネット賭博取締法、UIGEA)は、一般に賭博事業者がインターネット上でリアルマネーの賭けを受け入れることを禁止している。しかし、iGamingやオンラインスポーツベッティングを認可している州では、州から認可を受けた事業者に限り例外規定が設けられている。
iGamingプラットフォームは、ニュージャージー、デラウェア、ペンシルベニア、ミシガン、ウエストバージニア、コネチカットの各州で認可されている。オンラインスポーツベッティングは、22の州で合法的に規制されており、近い将来さらに多くの州で認められると予想されている。
出典元:Casino.org