「日本で構想中のIRはシンガポールのMICE施設からヒントを得ることができる。」
これはSchroders Capitalの見解だ。アジア太平洋地域戦略・投資・不動産アドバイザリー責任者のAndrew Haskins氏は最近の論文で、日本のカジノはシンガポールの競合施設を手本にできると述べている。
シンガポールのMarina Bay Sandsやセントーサ島との比較から、日本の複合施設も高い訪問者数とMICEビジネスを誘致できるはずだという。
Marina Bay Sandsはシンガポールに2つしかないカジノ施設のうちの1つ。もう1つはGenting Singapore’s Resorts World Sentosaだ。この2つはシンガポール政府から長期にわたる独占的な保護を受けていて、どちらもシンガポールの年間MICEビジネスを牽引する重要な存在である。
日本とシンガポールの比較は驚くべきことでもない
Schrodersが日本のゲーミング志向をシンガポールの確立されたモデルと比較することは理にかなっている。というのも、過去数年にわたって日本政府とアナリストも同じことを行っているからだ。
シンガポールでは、GentingとLas Vegas Sandsは犯罪や汚職の増加といった社会的リスクを抑えながらも収益性を最大限に高めることに成功している。これは日本の政治家らにとって魅力的な特徴であり、一時期この2社が日本のゲーミング許可取得の有力候補とされた理由でもある。
両社は日本IRの入札からすでに撤退してしまったが、日本はシンガポールの統合型リゾートモデルを見習い、アジア太平洋地域のMICEビジネスでシンガポールに並ぶ存在になりたいと考えているようだ。
Schrodersの論文によると、「ビジネス面では、シンガポールは東南アジアのコミュニケーションハブとしてのポジションと政府の強力な支援により、Covid-19以前からトップクラスのMICE開催地になっている」という。
長い道のり
日本は統合型リゾートに関して官僚的な遅れや手際の悪さですでに定評がある。今のところ、長崎と大阪で日本初のゲーミング施設が建設される可能性が高いが、開業はまだまだ数年先のことである。
MGM Resorts Internationalがオリックスと提携する大阪は日本で3番目に大きな都市で、ビジネスとレジャーの主要な目的地である。そのため、シンガポールにヒントを得た統合型リゾートの理想的な実験場となる可能性がある。
Haskins氏は「日本の47都道府県のうち、東京の3大都市圏を含むわずか5都道府県が、Covid-19以前の訪日観光需要の大半を占めており、これら3つの市場では、2019年のピーク時には外国人観光客が宿泊客全体の37%から39%を占めていた」と指摘している。
大阪でカジノリゾートがオープンするのは最短で2028年から2030年の間と言われており、MGMとオリックスは90億ドル以上の資金を投じるとみられている。
出典元:Casino.org