2022年はアメリカのスポーツベッティング市場にとって波乱に満ちた年であった。Odds On ComplianceのCEO兼共同設立者Eric Frank氏が、2023年のアメリカのスポーツベッティング市場がどう変化していくかを考察した。
2022年もアメリカのスポーツベッティング市場は特に規制の観点から猛スピードで成長した年であった。
2022年12月の時点で、36州とワシントンDCでスポーツベッティングが完全に合法化されたか、あるいは法案が承認され、2023年1月1日にはオハイオ州でついに解禁された。実際、オハイオ州で解禁されて迎えた初めての週末では、ニューヨーク州とペンシルベニア州が保持していたそれまでの記録を塗り替え、1130万件のジオロケーション取引と78万3,900件のユニークアカウントが作成された。
ビジネスチャンスの測定
こうした成長に伴い、ベッティング分野に参入する企業が増えている。オペレータだけでなく、新たなプラットフォームプロバイダやユニークなB2B製品・サービスのプロバイダ、マーケティングアフィリエイトなどだ。
だが、どの企業も好調であるとは言い難い。
2022年にはスポーツブックオペレータの閉鎖が相次ぎ、SPAC(特別買収目的会社)市場は枯渇し、投資資金の調達も難しくなった。2022年には規制面でも失敗があった。カリフォルニア州のスポーツベッティング合法化投票では、各方面から数億ドルの政治資金が投入されたものの大差で失敗に終わっている。
アメリカ人の3分の1以上が規制済みのスポーツベッティング市場で生活している一方で、スポーツベッティングは法で規制されている場所でのみ行われているわけではないことも留意しておくべきだ。
オフショアブックは規制されていない州では依然として活発に行われており、規制されている州でも問題になっている。明らかなのは、消費者を保護しつつゲーミング収入を得るためには、大規模な合法化が最善かつ最も効果的な方法であるということだ。
次のステップとは
では、2023年のアメリカギャンブル業界はどうなるのだろうか。さらなるスポーツベッティングの合法化、iGamingのブレイクスルー、eスポーツの拡大だろう。
テキサス州のような大規模なビジネスチャンスが見込まれる新市場においても規制が今後も続いていくことが予想される。他にもミズーリ州やノースカロライナ州など、スポーツ賭博を許可または拡大するための法改正を検討している州があり、マサチューセッツ州とメイン州では今年中にスポーツ賭博が開始されると見込まれている。
ニュージャージー州、ペンシルベニア州、ミシガン州、コネチカット州、デラウェア州(ポーカーはネバダ州)らのように、いくつかの州がiGamingの合法化も検討している。
今後10年間にギャンブルの温床となる可能性のあるeスポーツの分野では、初の試みも行われる予定である。アメリカのeスポーツは全体的に過去1年で大きな成長を遂げた。グローバルデータ企業のStatistaによると、eスポーツの視聴者数は2025年までに3億人を超えるという。当然ながら、その視聴者数が増えればベッティングも多く行われることになる。
eスポーツはCall of DutyやOverwatchのようなゲームに限らず、NBA 2KやFIFAシリーズのようなスポーツベンチャーもあり、現実世界のスポーツチームとの自然なタイアップや投資につながっている。
2022年は世界最大のスポーツイベントで幕を閉じた。アメリカのスポーツベッティングの状況はFIFAワールドカップを通して測定するのがベストな方法だ。
2022年のワールドカップは、ネバダ州以外のアメリカで初めてスポーツベッティングが合法化された大会であった。GeoComplyの報告によると、決勝戦では790万件のジオロケーション取引が発生したという。CNBCによると、メッシがアルゼンチンを代表して優勝カップを掲げた瞬間、ワールドカップのスポーツベッティングが合法であった州に住んでいたアメリカ人は1億3200万人と推定されている。
これは、わずか4年前にフランスが頂点に君臨したときから1,220%の増加にあたる。2026年にワールドカップがアメリカで開催される4年後には、我々はどうなっているだろうか?
出典元:iGamingBusiness