カジノやギャンブルを禁止すればギャンブルはなくなると考える国がある。結果としてTikTokは一部の地域でギャンブル禁止規制を回避するための有力な手段となっており、ネパール警察は過去2週間にわたって違反者を取り締まり、反撃に出ている。
その場しのぎのTikTokギャンブルの手口はほとんどが同じものだ。ユーザーがサービスを宣伝し、提供するゲームの種類に応じた支払いを受ける。そして、ギャンブラーがライブ(カジノが許可されている場所)またはオンラインで、例えばスロットマシンでギャンブルをしながら動画を作成するといった具合だ。
最近の取り締まりによる逮捕者の数が示すように、このコンセプトはネパールでは人気があるという。また、今回の警察の動きは、世界中の政治家がTikTokを閉鎖させるための判断材料になりそうだ。
必要性が創造性を生む
ネパールの地元警察によると、あるグループがTikTok上で賭博場を運営しているという。このグループはByteDanceが所有するTikTokを使い、別の中国製アプリの助けを借りて活動を行っていたらしい。
カトマンズバレー犯罪捜査局によると、1月10日から1月17日の間にTikTokを介した組織的賭博に関わる逮捕者が4人出たという。彼らはデジタルウォレットを使って500万ネパールルピー(3万8,400ドル)以上の取引を行ったとされている。
警察は今月第1週に3人を逮捕し、先週には4人目を逮捕した。
まず、ラリトプルでPuggとPubg2という名前でゲームを運営していた21歳の男を逮捕した。彼は様々な人とゲームをライブでプレイしながら、e-Sewaモバイルウォレットを通じて10日間で800万ネパールルピー(6万1,440ドル)の取引を行ったとされている。
e-Sewaはネパールの決済ゲートウェイで、デジタルウォレットが統合されている。
2人目に逮捕されたのはバクタプルでPler Kingという偽名を使った27歳の人物だ。警察の記録によると、彼は3つの異なるe-Sewaの口座から10日以内に100万ネパールルピー(7,680ドル)を稼いだとされている。
同日、バクタプルで別の21歳も逮捕された。彼はまだ他の者と同じ金額レベルには達しておらず、過去6日間にe-Sewaを通じて9万3,214ネパールルピー(715.88ドル)取引したという。
4人目の逮捕者は、ラリトプール在住の35歳。Kick Cashの名でも知られる彼は、2つのe-Sewa口座を使って15日間で合計85万3,331ネパールルピー(6,553ドル)の取引を行った。
取引や動画に使用した携帯電話に加え、彼らはプレイヤーと取引をトラッキングするためのログを書き込んでいた。この情報は、捜査当局が参加者全員を特定する作業を続ける上で役立つものとなる。
追跡が困難な人物
警察当局は違法行為に関与した数人の人物を逮捕した。しかし、犯罪者全員を追跡するのは困難だ。
彼らはネパールで簡単に手に入る偽のIDや電話番号を使い、自分たちの活動を隠蔽していた。安全が確保されないと判断するとその番号を捨てて新しい番号を取得し、顧客の住所録を新しい番号の携帯に移していた。
ネパールではギャンブルや賭博が禁止されているが、罰則はそれほど厳しくない。初犯の場合、通常300ネパールルピー(1.54ドル)の罰金で済む。2回目の違反で最高3か月間の禁固刑となり、3回目になってようやく1年の懲役刑になる。
TikTokはここ数年あまり好意的に受け入れられていない。アメリカの政治家の一部は、TikTokが潜在的なセキュリティリスクであり、ユーザーデータが全て中国に送信されるとして禁止を求めている。
アメリカ一般市民の間でTikTokに対する明白な禁止措置が取られたことはないが、ここ数か月でアメリカの10以上の州と下院が政府機関のデバイスからTikTokを禁止している。
アフガニスタン、アルメニア、インド、パキスタンなどの国でも使用禁止措置が取られている。しかし、オンライン上のほぼ全てのものと同様に、永久にブロックすることは当局が想定するほど簡単なことではない。
出典元:Casino.org