マフィアが1940年代半ばから少なくとも1970年代後半までラスベガスのカジノビジネスを支配していたことは事実である。しかしその一方で、何百人もの死体がラスベガスの砂漠に埋められたという神話がある。
The Las Vegas Mob Museum（モブ・ミュージアム）で展示・プログラム部門のVPを務める Geoff Schumacher氏は今週KNPRに対し、次のように述べた。
「これは、ラスベガスの砂漠を歩けばマフィアの犠牲者に出くわすといった、あくまで噂レベルの話です。しかし、記録を振り返ってみると、砂漠で発見されたり捨てられたりした死体があるというのは事実です。が、数も両手で数えられるほどで、皆さんが信じているような数百人というものではありません。」
神話の解釈
この神話は、ラスベガスのカジノリゾートを支配するマフィア組織犯罪の秘密を明らかにした1963年のニューヨーク・タイムズのベストセラー『The Green Felt Jungle』に端を発している。
「この本が出版されるまでラスベガスの犯罪について一般的な感覚は持っていても、その内容や名前については知られていませんでした。」
ラスベガス郊外の砂漠に多くの死体が埋められたらしいということ、つまり「死体が埋まっている場所を知っている」人という考え方が主流になった。おそらく、「86（取り除く、処分する）」が動詞になったのもそのためではないかと。この数字は、マフィアが犠牲者を町から8マイル先に追いやり、地面から6フィート下に埋めるよう命じたことに由来すると言われている。
だがこの事実を記憶する前に、別の神話についても知っておくべきだろう。オックスフォード英語辞典によると、「86」はバーテンダーが客にサービスを提供するのを拒否するときに使うコードだった。この言葉が最初に使われたのは、1920年代の映画スターで大酒飲みのJohn Barrymoreに関する1944年の本の中だそうだ。
ノー・キル・ゾーン
マフィアはラスベガスで敵を殺さないよう協定を結んできた。それは、カジノビジネスにとって悪いことだからだ。マフィアのBenjamin “Bugsy” Siegelが殺されたのはビバリーヒルズ。彼の後任としてFlamingoを率いていたGus Greenbaumはフェニックス。Stardustの違法カジノ収益（スキム）を管理していたAnthony “Tony the Ant” Spilotroはシカゴで殺されインディアナに埋められた。悪党でブックメーカーの “Russian” Louis StraussはDesert Innで車で拉致され、カリフォルニアまで運ばれた後に殺された。
「彼らがこういった汚い仕事を市外で行おうとしていたのは間違いありません。」
Schumacher氏は述べた。
ラスベガスがどうやってマフィアを葬ったのか
マフィアはやがてカジノビジネスから退場させられた。最も重要なのは、ネバダ州でCorporate Gaming Act（コーポレート・ゲーミング・アクト）が成立したことだ。1967年に制定されたこの法律により、企業は株主全員がライセンスを持たなくてもカジノを所有できるようになり、現在のラスベガス・ストリップの企業リゾートへの道が開かれることとなった。
同年、億万長者のHoward Hughes氏は、ペントハウスのスイートから追い出されるのを避けるために、クリーブランドのシンジケートのメンバーMoe Dalitz氏からDesert Innを購入した。Hughes氏はこのビジネスに夢中になり、Sands、Frontier、Silver Slipper、Castaways、Landmarkと買収を続けた。
80年代にはネバダ州のMichael Callahan知事がマフィアの賄賂や脅しに屈しないメンバーらをゲーミング・コントロール・ボードに任命し、残存するマフィアの影響力をカジノビジネスから排除することに貢献した。
Schumacher氏によれば、昨年ミード湖で発見された樽の中の死体も、そのためではないかという。
「(おそらく)情報提供者か政府関係者であったことがバレた誰かではないかと思われます。当時のマフィアは、誰が信用できるのかと疑い深かったのです。」
マフィアはまだ存在している。2000年代半ばまで彼らはラスベガスの人気ストリップクラブを運営していた。しかし最近では、違法薬物や売春、マネーロンダリングなどラスベガス商業の暗黒街に追いやられている。
出典元：Casino.org
