IRカジノプロジェクトの候補者を募るために日本政府が設けた4月28日の期限に向け、和歌山県が大急ぎで計画を進めている。
和歌山県は日本の3つあるIRライセンスを求める自治体3県のうちの1県だ。カナダの未公開株投資企業Clairvest Group主導のClairvest Neem Ventures(CNV)コンソーシアムが昨7月、県より優先IRパートナーに選出されている。
CNVは和歌山湾にある121エーカーの人工島マリーナシティに4700億円(41億ドル)規模の統合型リゾートを建設する計画を提出している。
Clairvestはゲーミング業界に新しく進出してきたわけではない。これまでニュージャージー州のメドーランズ競馬場やデラウェア州のデラウェアパーク競馬場、カナダのGrey Eagle Resort & Casino、チリのChilean Gaming Holdings、そしてB2Bのスポーツベッティング・iGamingプロバイダFSB Technologyなどに投資してきた実績がある。
同社はCNV事業にCaesars Entertainmentを引き入れたことで知名度を上げてきた。ラスベガスのカジノオペレータである同社が和歌山IRの所有権5%を保有することになる。
ClairvestがCNVの55%、残りの40%はいくつかの投資家がそれぞれ所有する。その中にはLas Vegas Sandsの元社長でCOOだったWilliam Weidner氏のGlobal Gaming Asset ManagementやフランスのカジノオペレータGroupe Partoucheなどがある。
CNVは2028年までに数十億ドル規模のカジノリゾートの建設を望んでおり、現在の計画では2,700室のホテル、コンベンションセンター、40万平方フィートに及ぶ巨大なゲーミングフロアが予定されている。これが実現すれば、和歌山県の同カジノがオクラホマ州のWinStar World Casinoに次ぐ床面積世界第2位の規模になる。
迫る期限
日本政府が設定したIR提出期限まで残り50日を切った。和歌山県は8か月前にCNVを開発パートナーに指定したにもかかわらず、まだカジノ計画を提出申請していない。
県知事の仁坂吉伸氏は焦りを感じている。今週、知事は議会を招集し、IRを主催する県の計画を承認するため臨時会議の日程を決定するよう求めた。
仁坂氏はIR申請書の評価および県を候補地として国へ提出するために編成された特別委員会の動きが遅すぎるとしている。特別委員会は、IRプランを完全に承認し国へ提出するために必要な資金の詳細が提出されていないとして県を非難した。
国はIR入札受付を昨年10月1日に開始した。和歌山県の他に大阪府、長崎県が候補地に挙がっている。
大阪府はMGM Resorts主導のコンソーシアム、長崎県はCasinos Austriaを運営事業者として選出している。
最初の選択肢ではなかったClairvest
ClairvestのIRプランが和歌山県の優先開発案というわけではなかった。県は当初、マカオのジャンケット巨大企業Suncity Groupによる2つの案を候補として挙げていた。
県のIR特別委員会はSuncityのIRプランを1,000点中720点として評価していた。一方のClairvestは653点であった。
しかしながらSuncityは昨5月、和歌山県への申請を突如として取りやめたのだ。県は落胆したものの、後から考えればSuncityの撤退はかえって都合がよかったと言える。同社の設立者で元CEOであったAlvin Chau氏がマカオで違法な国際ギャンブル活動を行っていたとして逮捕されたからだ。
出典元:Casino.org