日本カジノ学院は、テーブルゲームのディーラーを養成することで日本のゲーミング業界への参入を期待していた。学生らはカードデッキのシャッフルやサイズ調整、カット、また、バカラやミニバカラ、ブラックジャック、ポーカー、ルーレットなど様々な人気ゲームのディーリングまで一連の準備技術を身につけることができた。
同校は、2018年7月に国会でギャンブル法が成立したことを機にそのチャンスを掴んだ。特定複合観光施設区域整備法は当時の安倍晋三首相が後押ししたもので、日本をより観光に特化した世界的な目的地にしたいと願っていた。
カジノ法とは、全国に3つまで統合型リゾート(IR)カジノの複合施設を認可するもの。それから4年余り、安倍首相は凶弾に倒れ、この世を去った。カジノはまだオープンしておらず、政府によるカジノ計画の正式な承認にも至っていない。
日本カジノ学院は何百人もの希望に満ちたテーブルゲームディーラーを養成したが、日本国内で就職が決まった者はいない。2018年以降、入学者数が大幅に減少しており、プログラムの質に対する不満の声が学生らから上がっていたため、Inside Asian Gamingは今週、運営会社が破産を申請したことを発表した。
業界内でのいざこざ
日本の与党である自民党がカジノを導入することを選択した際、事態は明るく見えた。新たな税収と雇用を生み出すという安倍首相の願いを叶える政策だからだ。
世界の大手カジノ運営会社は、こぞってこのチャンスに熱狂した。カジノを運営する大手企業であれば、日本で3つあるIRライセンスの取得を真剣に検討したはずだ。
Las Vegas Sands、Caesars Entertainment、Hard Rock International、Galaxy Entertainment、Melco Resorts、Wynn Resorts、Mohegan Sun、SJM Resorts、Genting Groupなどが入札を検討していた。しかし、Sands社がパンデミックの影響で撤退し、日本がゲーミングルールや規制の決定でもたもたしているうちに連鎖反応が起きた。
他のカジノ企業だけでなく、以前から関心のあった都道府県や市町村も撤退することを決めた。その結果、候補地として残ったのは、大阪と長崎の2つのみとなった。
MGMリゾーツと大阪は90億ドル規模のIRを、長崎は32億ドル規模のIRをCasinos Austriaと提携して進めている。
学生にとっては負け博打
日本カジノ学院の授業料を払った多くの学生にとって、その時間とお金は負け博打となった。
同校の受講料は決して安いものではなかった。全てのテーブルゲームと基本的なトレーニングを含むプレミアムコースは150万円(1万1,000ドル)。IAGによれば、同校の業績が低迷し受講者が減少する前は、年間約1億2000万円(88万ドル)の売上があったという。
日本のカジノ業界は、まだ何年も先の話である。Casinos Austriaは長崎IRを2028年までに開業、MGMは大阪IRを2029年に開業したいとしている。
出典元:Casino.org